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[2024年10月29日] 「第57回日本女子ソフトボールリーグ」 プラチナセクション第4節総括・順位決定節展望

 去る10月16日(水)、「第57回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクションは、「予備節」を実施。「第3節」で雨天順延となっていた2試合を行い、レギュラーシーズンの全日程を終了した。

 このプラチナセクションは9月27日(金)~29日(日)、岡山県新見市・憩いとふれあいの公園を会場に「第4節」を実施。「予備節」に順延された2試合が順位決定の上で「重要な試合」となった。
 ここでは、プラチナセクション各チームの「第4節」「予備節」での戦いを振り返り、最終順位を決定する「順位決定節」の行方を展望してみたい。

プラチナセクション第4節・予備節をふり返って
 

2024シーズン 最終決戦!!!
 



 1位:VONDS市原(10勝3敗)
 
「第57回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクション レギュラーシーズン終了時点 チーム成績
チーム防御率:1.08(1位)
奪三振:83(1位)
総失点:21(2位)
チーム打率:2割6分8厘(3位)
総得点:51(2位)
総本塁打:6(2位)
総失策:6(2位)
守備率:0.983(2位)

※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す

 VONDS市原は「第1節」1勝1敗のスタート、「ホーム」開催の「第2節」で3連勝を飾り、通算成績4勝1敗で「同率首位」に立ち、「交流節」は2勝1敗。通算成績6勝2敗の「同率首位」で後半戦再開となる「第3節」を迎え、「第3節」は2日間、「台風10号」の影響で試合が流れ、予備日に靜甲と1試合のみを行い、6安打中5本が長打という効果的な「長打攻勢」で6-1と快勝。第4節は安定感抜群の「エース」高田香が3試合中2試合を1-0の完封。3試合20イニングを投げ、失点わずかに1と「完璧」なピッチングを見せ、3連投で3連勝。通算成績を10勝2敗とし、「予備節」の最終戦を待たずに「プラチナセクション」1位を確定させた。
 「予備節」の最終戦では「2位」の座確保、「日本リーグ優勝」を争う「順位決定節」Aブロック進出に燃える厚木SCに敗れはしたが、通算成績10勝3敗の「1位」で「順位決定節」Aブロック進出を決めた。

 投手陣は前述した通り、「エース」高田香が開幕から獅子奮迅の活躍。13試合すべてに登板し、66回2/3を投げ、8勝2敗・防御率0.42・奪三振59の堂々たる成績で「プラチナセクション」1位の座をつかみとる「立役者」となった。
 「もう一人のエース」として期待された渡邉双葉は7試合・22回2/3を投げ、2勝1敗・防御率2.78・奪三振23の成績を残しており、「日本リーグ優勝」を争う「順位決定節」Aブロックが3日間で4試合を戦い抜く「過酷」な日程になることを考えると、「エース」高田香をいかに良いコンディションを保ったまま、戦えるかがカギとなり、その意味でも渡邉双葉の存在は心強いものがあり、短期決戦、連戦となる「順位決定節」では必ずやその「力」が必要となるだろう。
 打線は「第4節」「予備節」と湿りがち。「第4節」では3連勝したとはいえ、そのうち2試合は1-0の僅差のクロスゲームが続いた。「キャプテン」千葉春海が打率3割4厘・打点3、紺野穂乃香が打率3割3厘・打点2と打率3割をキープ。「リードオフマン」塚本楓花も打率2割9分4厘・本塁打1・打点8の数字を残し、チームの攻撃の「起点」となっている。投手陣は安定しているだけに、打線が奮起し、「先制攻撃」を仕掛け、「先取点」を奪うような試合展開になれば、勝利はグッと近づき、念願の「日本リーグ優勝」を手にする可能性が高まる。

 「プラチナセクション」「サファイアセクション」2位以上のチームが集まり、「日本リーグ優勝」を争う「順位決定節」Aブロックでは、初戦で「サファイアセクション」2位の大和電機工業と対戦。2日目がダブルヘッダーとなり、「サファイアセクション」1位のMORI ALL WAVE KANOYA、「プラチナセクション」2位の厚木SCとの対戦が組まれている。 
 まずは初戦となる大和電機工業戦をどう戦うかがカギになる。大和電機工業とは今シーズンは別セクションとなったため、「交流節」でも対戦がなく、昨シーズンは同じ「プラチナセクション」で戦い、レギュラーシーズンの対戦では3-1、2-4で1勝1敗という結果が残っている。2戦目の敗戦は上原彩瑛に3打席連続本塁打を浴び、「上原彩瑛一人にやられた」という試合で、今回の対戦でも「要警戒」「厳重注意」の選手となりそうだ。いずれにしても大和電機工業は「強打」が売り物のチームで、積極果敢、一気呵成に攻めてくるチームだけに「エース」高田香の出来が勝敗を左右することになりそうだ。
 2日目のMORI ALL WAVE KANOYA戦、厚木SC戦は好投手同士の投げ合い、1点を争う「投手戦」となりそうな気配だ。MORI ALL WAVE KANOYAには、かつて「日本代表」として活躍し、ジュニアカテゴリー、TOPカテゴリー、いずれのカテゴリーでも世界選手権(現・ワールドカップ)で「優勝」「世界一」を勝ち獲った経験を有する中野花菜、「旧・日本リーグ1部」で活躍した経験のある左腕・竹原由菜の「左右の二枚看板」が揃う投手陣は強力。厚木SCにも今シーズン「躍進」の原動力となった好投手・古屋英恵がおり、そう簡単には攻略できそうにない。このダブルヘッダーでは打線が好投手たちをどう打ち崩し、得点を奪うかがカギになる。MORI ALL WAVE KANOYAには「交流節」で対戦し、3-4で敗れており、同じセクションの厚木SCには3-4、0-2と連敗している。まず初戦の大和電機工業戦に勝って「勢い」に乗り、この日のダブルヘッダーに臨みたいところだ。

 「念願」の日本リーグ優勝に向け、VONDS市原がどんな戦いを見せてくれるか!? 期待と注目が集まる。

「順位決定節」Aブロック VONDS市原 試合予定

11月1日(金)
対 大和電機工業(サファイアセクション2位)※10:00試合開始予定
11月2日(土)
対 MORI ALL WAVE KANOYA(サファイアセクション1位)※10:00試合開始予定
対 厚木SC(プラチナセクション2位)※12:30試合開始予定
11月3日(日)
「3位決定戦」(Aブロック3位対4位)※10:00試合開始予定
「優勝決定戦」(Aブロック1位対2位)※12:30試合開始予定

 

「プラチナセクション」10勝3敗の1位で「順位決定節」Aブロック進出を決めたVONDS市原



 2位:厚木SC(9勝4敗)
 
「第57回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクション レギュラーシーズン終了時点 チーム成績
チーム防御率:1.22(2位)
奪三振:58(4位)
総失点:20(1位)
チーム打率:2割8分5厘(1位)
総得点:33(5位)
総本塁打:2(5位)
総失策:8(4位)
守備率:0.976(3位)

※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す

 「第1節」連勝スタートを切った厚木SCは、「第2節」は1勝2敗と星を伸ばせず、通算成績3勝2敗で3位に順位を落としたものの、「交流節」で3連勝。VONDS市原、平林金属 Peachblossomsと並んで「同率首位」に立ち、後半戦再開となる「第3節」は「台風10号」の影響でVONDS市原戦が中止・順延となり、ペヤング戦が「不戦勝」となったことで通算成績7勝2敗とし、VONDS市原と並んで「同率首位」で最終節となる「第4節」を迎えることになった。
 その「第4節」では、初戦のYKK戦に4-5のサヨナラ負けを喫し、続く靜甲戦は「エース」古屋英恵の力投で1-0の完封勝利を収めたものの、最終戦の平林金属 Peachblossoms戦、3-1とリードし、最終回ツーアウト「あと一人」と勝利を目前にしながら「エース」古屋英恵が「まさか……」の逆転スリーランを浴び、3-5で敗れる「衝撃的」な結末。「予備節」でのVONDS市原戦に「勝つ」しか、「順位決定節」Aブロック進出の道はなくなってしまった。
 「予備節」の最終戦、勝てば「順位決定節」Aブロック進出が決まる厚木SCは、ここまで「選手登録」はしていたものの、1試合も出場していなかった「コーチ」和田美樹を「2番・DP」でスタメンに起用。その第1打席、VONDS市原の「エース」であり、「プラチナセクション」防御率1位の好投手・高田香から、いきなりの先制ソロホ―ムラン! この「一発」で試合の流れを決定づけ、小山優理、江口奈那が長短打を放って続き、初回に2点を先制。そのまま2-0で押し切り、「プラチナセクション」2位の座を死守し、「順位決定節」Aブロック進出を決めた。

 今シーズン「躍進」の原動力となったのは「エース」古屋英恵。レギュラーシーズン13試合中12試合(1試合はペヤング戦の不戦勝)に登板し、「プラチナセクション」最多の81イニングを投げ、8勝2敗・防御率0.86・奪三振56の堂々たる成績で昨シーズン9位に終わったチームを「プラチナセクション」2位にジャンプアップさせ、「順位決定節」Aブロック進出を果たすまでに押し上げた。クレバーにして大胆不敵なピッチングが持ち味。「日本リーグ優勝」を争う「順位決定節」Aブロックの舞台でも「普段通り」のピッチングができれば「優勝」の二文字が「現実味」を帯びてくる。
 打線では鈴木満梨佳が「プラチナセクション」打撃ランキング「2位」の打率3割7分5厘のハイアベレージを残し、「ルーキー」江口奈那が打率3割3分3厘・打点5、小山優理が打率3割1分6厘・打点4、「キャプテン」辻あさひが打率3割3厘、小森真央が打率3割ちょうどと好調でチーム打率2割8分5厘は「プラチナセクション」トップの数字。「コーチ」和田美樹の「選手起用」も含め「日本リーグ優勝」を争う「順位決定節」Aブロックで、厚木SCがどんな選手起用を見せ、どんな戦いを見せるのか……興味は尽きない。

 「順位決定節」Aブロックは初日がダブルヘッダーとなり、初戦で「サファイアセクション」1位のMORI ALL WAVE KANOYAと対戦。続いて「サファイアセクション」2位の大和電機工業と対戦する。初戦は厚木SCの好調な打線がMORI ALL WAVE KANOYAが誇る中野花菜、竹原由菜の「左右の二枚看板」をどう攻略するかがカギとなり、続く大和電機工業戦は「エース」古屋英恵が「強打」を売り物とする大和電機工業の打線をいかに抑えるかが焦点となる。MORI ALL WAVE KANOYAとは今シーズン「交流節」での対戦はなく、今夏の「第45回全日本クラブ女子選手権大会」(7月20日(土)~22日(月)/岩手県下関市で開催)の決勝で顔を合わせ、0-7で大敗。優勝を逃している。大和電機工業とは「交流節」で対戦し、こちらは4-0の完封勝ち。「エース」古屋英恵が6回まで9安打されながらも得点を許さず、最後は古本緋里が締め、結局二桁安打を許しながらも完封で勝利するという、ある意味で「厚木SCらしい」試合で勝利を収めている。
 2日目は「プラチナセクション」1位のVONDS市原と対戦。レギュラーシーズンでは4-3、2-0で連勝を飾っている。
 「短期決戦」となる「順位決定節」では、「エース」古屋英恵の出来がカギを握る。打たれても、走者は出しても、最終的に得点は許さない……という「いつものピッチング」ができれば勝利は近づく。また、打線も好調なだけに、早めに「エース」を援護するような展開になれば理想的といえよう。チーム打率は「プラチナセクション」1位でありながら、総得点33は同セクション「5位」と必ずしも安打が得点に結びついていない「非効率」な面もあったが、これも和田美樹が打線に加わるようなことになると、一気にその「課題」「問題点」を解消する「特効薬」となる可能性がある。今シーズン「プラチナセクション」を盛り上げてくれた厚木SCの「順位決定節」Aブロックでの戦いに注目しよう!

「順位決定節」Aブロック 厚木SC 試合予定

11月1日(金)
対 MORI ALL WAVE KANOYA(サファイアセクション1位)※12:30試合開始予定
対 大和電機工業(サファイアセクション2位)※15:00試合開始予定
11月2日(土)
対 VONDS市原(プラチナセクション1位)※12:30試合開始予定
11月3日(日)
「3位決定戦」(Aブロック3位対4位)※10:00試合開始予定
「優勝決定戦」(Aブロック1位対2位)※12:30試合開始予定

「プラチナセクション」9勝4敗で「2位」の厚木SC

2024シーズン 順位決定節 Aブロック出場チーム紹介動画
 



 3位:平林金属 Peachblossoms(8勝5敗)
 
「第57回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクション レギュラーシーズン終了時点 チーム成績
チーム防御率:2.42(3位)
奪三振:31(6位)
総失点:43(3位)
チーム打率:2割3分5厘(5位)
総得点:45(3位)
総本塁打:6(2位)
総失策:10(5位)
守備率:0.973(5位)

※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す

 平林金属 Peachblossomsは「第1節」で連勝の好スタート。「第2節」を2勝1敗で乗り切り、「交流節」も2勝1敗。通算成績6勝2敗の「同率首位」で後半戦に突入。「上位進出」への期待が大きく膨らんだが……「第3節」「第4節」の「勝負どこと」でシーズン前からの「懸案」であった投手陣が持ちこたえられず、徐々に上位から引き離される結果に……。「ホーム」開催の最終戦、「主砲」植村華の「起死回生」のスリーランで厚木SCに5-3の逆転サヨナラ勝ちを収め、「予備節」の結果次第では「日本リーグ優勝」を争う「順位決定節」Aブロック進出の可能性を残したが……「予備節」で厚木SCが勝利し、「自力」で2位の座を確保したため、「逆転」での「順位決定節」Aブロック進出はならなかった。

 最後の「詰め」を誤ったのは、やはり戦前から懸念されていた「投手力」の差。「エース」橋口紫織を中心に奮闘したが、「順位決定節」Aブロック進出を決めたVONDS市原(チーム防御率1.08)、厚木SC(チーム防御率1.22)に比べると、チーム防御率2.42(プラチナセクション3位)・奪三振31(同6位)・総失点43(同3位)の数字は、「よく頑張った」「健闘した」といえる数字ではあるのだが、上位2チームの数字が突出していたとはいえ、防御率・総失点とも倍近い差をつけられ、奪三振数に至ってはセクション「最下位」。相手打線を「力」で抑え込み、ねじ伏せていく「迫力」や「制圧力」に欠け、それが「勝負どころ」の後半戦での息切れ、失速を招く大きな要因となってしまった。
 それを援護すべき打線も、チームの「顔」であり、「看板打者」である植村華が打率3割6分1厘(プラチナセクション3位)・本塁打5(同1位)・打点10(同2位)と「さすが」の数字を残しているものの、それに続く打者が見当たらず、「3割打者」は行武唯華の打率3割1分8厘のみ。その行武唯華も本塁打・打点は「0」であり、シーズン序盤「神がかり」的な活躍を見せてくれた「キャプテン」森香央理も打率2割6分3厘・打点10と徐々に数字を落とし、投手力の差をカバーするだけの打撃・攻撃を展開することができなかった。

 「プラチナセクション」「サファイアセクション」3位・4位のチームによって「5位~8位」が争われる「順位決定節」Bブロックでは、初戦で「サファイアセクション」4位の花王コスメ小田原 フェニックスと対戦。2日目がダブルヘッダーとなり、まず「サファイアセクション」3位のCitrine Ichinomiyaと対戦し、ダブルヘッダーの2試合目で「プラチナセクション」4位のYKKと対戦する。
 花王コスメ小田原 フェニックスとは「交流節」で対戦。「サファイアセクション」防御率1位(0.66)の「エース」栗原ななみを「温存」されたまま、星野圭音、小森美咲とつなぐ継投策の前に、「主砲」植村華の「一発」で挙げた1点のみで1-2で敗れている。Citrine Ichinomiyaとも「交流節」で対戦。こちらは7-1で大勝している。同じセクションのYKKとはレギュラーシーズンで二度対戦し、最初の対戦(第1節での対戦)は7-6の辛勝。初回に大量6点を先制しながら最終的には1点差まで追い上げられての勝利。2回目の対戦(第3節での対戦)では投手陣が打ち込まれ、1-6の大敗を喫している。

 惜しくも「日本リーグ優勝」を争う「順位決定節」Aブロック進出は逃したものの、最後の最後までその座を争い、「プラチナセクション」を盛り上げてくれた平林金属 Peachblossoms。「ホーム」開催となった「第4節」最終戦の植村華の逆転サヨナラスリーランは忘れられない「名場面」であり、この「一発」で「予備節」での奇跡の逆転、滑り込みでの「順位決定節」Aブロック進出へ望みをつないだが……厚木SCの勝利でその望みも儚く消えてしまった。
 その分、この「順位決定節」Bブロックでは「来年につながる」試合を見せてほしい。昨シーズン7位から「さらに上」が狙える機運は十分に高まった。ここでBブロック最上位である「5位」となり、来シーズンへとつなげること。確かな手応えと大きな収穫を得たシーズンだからこそ……その締めくくりが大事になる。

「順位決定節」Bブロック 平林金属 Peachblossoms 試合予定

11月1日(金)
対 花王コスメ小田原 フェニックス(サファイアセクション4位)※10:00試合開始予定
11月2日(土)
対 Citrine Ichinomiya(サファイアセクション3位)※10:00試合開始予定
対 YKK(プラチナセクション4位)※12:30試合開始予定
11月3日(日)
「7位決定戦」(Bブロック3位対4位)※10:00試合軽視予定
「5位決定戦」(Bブロック1位対2位)※12:30試合開始予定

 

「プラチナセクション」8勝5敗で3位の平林金属 Peachblossoms



 4位:YKK(7勝6敗)
 
「第57回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクション レギュラーシーズン終了時点 チーム成績
チーム防御率:3.18(5位)
奪三振:60(3位)
総失点:48(6位)
チーム打率:2割7分4厘(2位)
総得点:57(1位)
総本塁打:9(1位)
総失策:5(1位)
守備率:0.987(1位)

※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す

 YKKは「第1節」1勝1敗のスタート。「第2節」は2勝1敗と勝ち越し、「ホーム」開催の交流節は「ホーム」の熱い声援に応えられず、1勝2敗と負け越し。後半戦が再開された「第3節」は台風10号の影響で靜甲戦が雨天順延となり、平林金属 Peachblossomsとの1試合のみを行い、6-1で快勝。通算成績5勝4敗の4位で「第4節」を迎え、初戦、厚木SCに5-4のサヨナラ勝ち。続くペヤング戦にも4-0の完封で連勝を飾り、最終戦のVONDS市原は0-1で敗れたものの、「第4節」終了時点で7勝5敗。「予備節」で2位・厚木SCが首位・VONDS市原に敗れ、YKKが靜甲に勝利すれば、YKK、厚木SC、平林動画 Peachblossomsの3チームが8勝5敗の「同率」で並び、「同率で並ぶチーム同士の直接対決の勝敗」「同率で並ぶチーム同士の直接対決での得失点差」でYKKが上回り、「逆転」の「2位」で「順位決定節」Aブロック進出が実現するところまでこぎつけたのだが……。
 「予備節」では厚木SCがVONDS市原を2-0で破り、この時点で「自力」での「2位」が確定。YKKの靜甲との最終戦は「消化試合」となってしまい、3-7で敗れ、通算成績7勝6敗の4位でレギュラーシーズンを終えることになった。

 今シーズンは投手陣に「ルーキー」が加入。「日本一投球間隔が短く、テンポの速い投手」畑中萌が規定投球回数に到達(11試合・48イニングを投げ、3勝3敗・防御率2.77・奪三振49)、対照的に冷静に淡々と投げ込むピッチングスタイルの木澤愛梨(7試合・28回1/3を投げ、3勝2敗・防御率2.96・奪三振7)と二人の「ルーキー」が奮闘し、チームを支えてくれたが、チーム防御率3.18は「プラチナセクション」5位と振るわず、長年の「課題」であり、「問題点」である「投手力の向上」を完全に解消するまでには至らなかった。ただ、期待と可能性を感じさせる左右それぞれにタイプの異なる投手が台頭してきたことは来シーズン以降に向けた「明るい材料」といえよう。
 打線では、東郷佑実が打率4割8分7厘・本塁打1・打点6の活躍で「プラチナセクション」打撃ランキングのトップ。「実力者」宮坂佑希が打率3割4分3厘・本塁打3・打点7と数字を上げてきたが、昨シーズン打率4割6分2厘・本塁打6・打点26の活躍で「打率」「本塁打」「打点」すべての部門でセクショントップの数字を叩き出した「主砲」大内麻里奈が打率2割2分9厘・本塁打4・打点17と厳しくマークされ、昨シーズンほどの数字を残せず……チームを波に乗せることができなかった。

 「順位決定節」Bブロックでは、初日がダブルヘッダーとなり、初戦で「サファイアセクション」3位のCitrine Ichinomiya、続いて「サファイアセクション」4位の花王コスメ小田原 フェニックスと対戦する。Citrine Ichinomiyaとは「交流節」での対戦はなく、昨シーズン同セクションだったときにレギュラーシーズンで4-5、9-4と1勝1敗。いずれも点の奪い合いとなっており、打撃戦となる予感も!? 花王コスメ小田原 フェニックスとも「交流節」での対戦はなく、今夏の「第64回全日本実業団女子選手権大会」(7月27日(土)・28日(土)/石川県金沢市で開催)の準々決勝で対戦。このときは花王コスメ小田原 フェニックスが2-1で勝利し、そのまま「頂点」まで駆け上がり、8年ぶり2回目の優勝を飾っている。
 2日目は「プラチナセクション」3位の平林金属 Peachblossomsと対戦。ともに最後の最後まで「日本リーグ優勝」を争う「順位決定節」Aブロック進出をかけ、激しい順位争いを演じた間柄。レギュラーシーズンでの対戦も1勝1敗と実力は拮抗している。
 いつも「あと一歩」のところで「日本リーグ優勝」を争う「順位決定節」Aブロック進出を逃してしまっているYKK。それだけに……来シーズンへとつながる戦いを見せてほしいところである。この「順位決定節」Bブロックの最上位となる「5位」の座をつかむところから「来シーズン」は始まっている。伸びしろと可能性を持ったチームだからこそ……来シーズンへとつながる戦いとするためには、この「順位決定節」Bブロックを「圧倒的な強さ」で勝ち上がるような姿を見せてほしいものである。

「順位決定節」Bブロック YKK 試合予定

11月1日(金)
対 Citrine Ichinomiya(サファイアセクション3位)※12:30試合開始予定
対 花王コスメ小田原 フェニックス(サファイアセクション4位)※15:00試合開始予定
11月2日(土)
対 平橋金属 Peachblossoms(プラチナセクション3位)※12:30試合開始予定
11月3日(日)
「7位決定戦」(Bブロック3位対4位)※10:00試合開始予定
「5位決定戦」(Bブロック1位対2位)※12:30試合開始予定

「プラチナセクション」7勝6敗で4位のYKK

2024シーズン 順位決定節 Bブロック出場チーム紹介動画
 



 5位:靜甲(5勝8敗)
 
「第57回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクション レギュラーシーズン終了時点 チーム成績
チーム防御率:2.61(4位)
奪三振:65(2位)
総失点:43(4位)
チーム打率:2割4分(4位)
総得点:38(4位)
総本塁打:3(4位)
総失策:11(6位)
守備率:0.972(6位)

※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す

 昨シーズンの「覇者」靜甲は、「第1節」で勝ち星なしの連敗スタート。「第2節」での巻き返しを誓っていたが……最終戦のペヤング戦でようやく今シーズン初勝利を挙げたものの、1勝2敗と星を伸ばせず……、「交流節」を2勝1敗と勝ち越し、通算成績3勝5敗とようやく「復調」の兆しを見せたものの、「ホーム」開催となる「第3節」では台風10号の影響でYKK戦が「予備節」に順延となり、首位・VONDS市原戦のみが行われ、安打6本中5本が長打という効果的な「長打攻勢」の前に1-6で完敗。第4節では今シーズン勝ち星のなかったペヤングに「初勝利」をプレゼントする役回りを演じることになる等、1勝2敗と負け越し。「予備節」での最終戦、YKK戦に「キャプテン」半田由佳の満塁ホームランを含む2安打・6打点の活躍で7-3と圧勝。最終戦を勝利で飾りはしたものの、「連覇」を狙ったシーズンは通算成績5勝8敗。「順位決定節」Cブロックに回るという「予想外」の展開のまま、レギュラーシーズンの幕を閉じた。

 9月14日(土)~16日(月・祝)、滋賀県守山市・草津市・東近江市・高島市で開催された「皇后盃 第76回全日本総合女子選手権大会」ではJD.リーグのチームを次々撃破(シオノギ レインボーストークス兵庫に3-1で競り勝ち、タカギ北九州 ウォーターウェーブに2-0の完封勝ち)し、ベスト8進出を果たす快進撃。日本リーグ勢の「意地」を見せ、昨シーズンの「覇者」の威厳と誇りを示してくれたが……日本リーグでは「連覇」どころか、「順位決定節」Cブロックでの戦いとなってしまった。

 昨シーズン「日本リーグ優勝」の立役者となった山本すみれ(JD.LEAGUE・NECプラットフォームズ レッドファルコンズに移籍。第12節まで19試合に登板し、投球回数76回2/3・5勝7敗・防御率2.19・奪三振48と活躍中)の抜けた穴はやはり大きく、投手陣に規定投球回数に達した投手がおらず、小井沼美月(8試合・27回1/3を投げ、2勝4敗・防御率3.59・奪三振32)、望月ひより(9試合・25回1/3を投げ、3勝1敗・防御率0.55・奪三振13)と二人の「ルーキー」を中心に投手起用し、ベスト8進出を果たした全日本総合女子選手権大会では、小井沼美月、望月ひより、東野真咲、豊田彩乃の4投手を小刻みにつなぐ継投策でJD.リーグ勢を撃破してみせてくれたが、リーグでは思うような結果に結びつけることができなかった。
 打線では、昨シーズンの「MVP」井上葉菜が打率3割4分8厘・本塁打1・打点4と最終的にはその「実力」の片鱗を感じさせる活躍を見せてくれたが、フルシーズン、コンスタントに活躍することができず、「キャプテン」としてチームを引っ張る半田由佳が打率3割2分6厘・本塁打1・打点7と気を吐き、チームを鼓舞したが「孤軍奮闘」の感は否めず……。投打ともに「決め手」を欠き、「プラチナセクション」5位に甘んじ、「順位決定節」Cブロックに回る結果となった。

 「順位決定節」Cブロックでは、初戦で「サファイアセクション」最下位のルネス紅葉スポーツ柔整専門学校と対戦。2日目はダブルヘッダーとなり、まず「サファイアセクション」5位の小泉病院 Blue Arrowsと対戦し、続いて「プラチナセクション」最下位のペヤングと対戦する。
 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校とは「交流節」で対戦しており、2-0の完封勝ち。小泉病院 Blue Arrowsとも「交流節」で対戦し、4-0で勝利を収めている。同じセクションのペヤングとは4-3、1-3と1勝1敗。この対戦成績を見る限り、やはり「昨シーズンの覇者」靜甲に分があり、「一枚上手」といった印象がある。
 どちらにしても昨シーズン「優勝決定戦」で対戦し、「日本リーグ優勝」をかけて戦った靜甲、小泉病院 Blue Arrowsの両チームが、この「順位決定節」Cブロックで顔を合わせる……というのは何とも寂しい話。シーズンの最後を良い形で締めくくり、「来シーズンが楽しみになる」ぜひともそんな試合を演じてほしいものだ。

「順位決定節」Cブロック 靜甲 試合予定

11月1日(金)
対 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校(サファイアセクション6位)※12:30試合開始予定
11月2日(土)
対 小泉病院 Blue Arrows(サファイアセクション5位)※10:00試合開始予定
対 ペヤング(プラチナセクション6位)※12:30試合開始予定
11月3日(日)
「11位決定戦」(Cブロック3位対4位)※10:00 試合開始予定
「9位決定戦」(Cブロック1位対2位)※12:30試合開始予定


 

「プラチナセクション」5勝8敗で5位の靜甲



 6位:ペヤング(1勝12敗)
 
「第57回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクション レギュラーシーズン終了時点 チーム成績
チーム防御率:3.21(6位)
奪三振:36(5位)
総失点:46(5位)
チーム打率:1割8分7厘(6位)
総得点:18(6位)
総本塁打:2(5位)
総失策:7(3位)
守備率:0.976(3位)

※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す

 ペヤングは「第1節」勝ち星がなく、連敗。「第2節」も3連敗を喫し、前半戦勝ち星なしで「交流節」を迎え、その「交流節」でも3連敗。後半戦再開となった「第3節」は「過去最大級」の勢力を誇る「台風10号」の影響で出場を見合わせ、「第3節」で予定されていた2試合は「不戦敗」扱いに……。「不戦敗」での2敗が加算され、0勝10敗となってしまった。レギュラーシーズン「最終節」となる「第4節」では、初戦のVONDS市原に0-1、続くYKK戦に0-4と2試合連続の完封負けを喫し、開幕からの勝ち星なしの12連敗となってしまったが、最終戦の靜甲戦で奮起。初回に1点を先制されたものの、その裏すぐに試合をひっくり返し、3回裏にも志賀彩音の適時三塁打で1点を追加すると、そのまま3-1で逃げ切り、待望の今シーズン初勝利。開幕から13試合目、最終戦でようやく初勝利を挙げた。

 投手陣では「エース」平山綾乃が「不戦敗」2試合を除く、11試合すべてに登板。投球回数64回2/3・1勝9敗・防御率2.71・奪三振35の成績を残した。「課題」は制球力で与四球34・与死球11はいずれも「プラチナセクション」最多。四死球から失点し、傷口を広げ、自滅していく……といったパターンが多々あるだけに、このあたりを改善することができれば……さらに勝ち星を積み上げていくことも可能になるのだが。
 打線では、「キャプテン」釣春香が打率3割3厘と打率3割超え。ただ……これがチーム・「唯一」の3割打者であり、チーム打率1割8分7厘・総得点36はいずれも「プラチナセクション」最下位と攻撃力不足・得点力不足に泣いた。全体的な数字・成績は他チームと遜色ないところまで改善・向上してきているだけに、この「順位決定節」では打線の奮起に期待したいところだ。

 「順位決定節」Cブロックでは、初日がダブルヘッダーとなり、初戦で「サファイアセクション」5位の小泉病院 Blue Arrows、続いて「サファイアセクション」最下位のルネス紅葉スポーツ柔整専門学校との対戦が組まれ、2日目は「プラチナセクション」5位の靜甲との対戦となる。
 小泉病院 Blue Arrows、ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校とはいずれも「交流節」での対戦はなく、同じセクションの靜甲とは1勝1敗。過去2シーズン、最下位を免れ、「11位」で「順位決定節」を終えているが、今シーズンは「さらに上」を狙う気概を持って戦ってもらいたいものだ。

「順位決定節」Cブロック ペヤング 試合予定

11月1日(金)
対 小泉病院 Blue Arrows(サファイアセクション5位)※12:30試合開始予定
対 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校(サファイアセクション6位)※15:00試合開始予定
11月2日(土)
対 靜甲(プラチナセクション5位)※12:30試合開始予定
11月3日(日)
「11位決定戦」(Cブロック3位対4位)※10:00試合開始予定
「9位決定戦」(Cブロック1位対2位)※12:30試合開始予定

「プラチナセクション」1勝12敗で6位のペヤング

2024シーズン 順位決定節 Cブロック出場チーム紹介動画
 



 また、日本リーグでは、試合を行うだけでなく、各節・各開催地で積極的に「ソフトボールクリニック」(ソフトボール教室)、「保育所・幼稚園・小学校訪問」等を行い、ソフトボールのPR、普及活動に努めている。レギュラーシーズン「最終節」となった「第4節」も試合の合間を縫って「ソフトボール普及」活動を実施。今回は試合会場で「ソフトボールクリニック」(ソフトボール教室)を行い、並行して「認定こども園」への訪問も行った。 試合において全力プレーでソフトボールの魅力や面白さを伝えていくのはもちろんのこと、ソフトボールの「未来」「将来」につながる子どもたちと「ふれあいの時間」を持ち、ソフトボールという競技がどんなものなのか、そのPRに努め、普及活動の一環として、ソフトボールの楽しさ、面白さを伝えていくこと。日本女子ソフトボールリーグは「試合に勝つこと」「良い成績を残すこと」だけでなく、ソフトボール競技全体を盛り上げ、そこに魅力を感じ、将来ソフトボールをはじめてくれる子どもたちを一人でも増やし、生涯にわたってソフトボールに関わり、携わってくれる子どもたちが出てきてくれることを心から願い、このような取り組みを行い、継続している。ここでは「プラチナセクション」が行った「ソフトボールクリニック」(ソフトボール教室)、「認定こども園」への訪問の様子をお伝えする。

ソフトボールクリニック(ソフトボール教室)動画


認定こども園訪問動画

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